君は、「UKグライム」を知ってるか?イギリス発ラップの新境地。

hip hop MC 音楽

いきなりですが、「ラップ」という言葉を聞いてどこの国を思い浮かべますか?やっぱり、自由の国アメリカですかね?確かにアメリカのラップもイイんですが…

今、新たに世界のヒップホップシーンの中心に躍り出ようとする国があるんです!
それは、「イギリス」!

そう、UKラップが熱いんです!今回は、UKラップの中でも最高にクールなジャンル、グライム(Grime)をご紹介します!

「グライム(Grime)」ってなに?

起源はヒップ・ホップ!ではなく…?

ここまで、グライムがヒップホップの延長であるかのように紹介してきたのですが…
実は、グライムの起源は「ヒップホップ」ではなく、「ハウスミュージック」なんです!

時をさかのぼって2000年代のロンドンダンスミュージックに乗せてラップをしたのが発祥とされています。

現在では、ファッションを含めてヒップホップに近いスタイルに変化していますが、厳密にはEDMに分類されるんですね。

ストイックなビートが最高すぎる。

グライムの特徴は、「低音かつ、攻撃的で素早いビート」にあります。これが何とも言えないストイックさを醸し出していて、カッコイイ。

アメリカのヒップホップに代表される(?)「スローテンポで艶のあるビート」とは違い、無骨です。ゴリゴリしてます。(笑)

でも、その雰囲気がアンダーグラウンドな雰囲気をもたらしているのです。

濃密なリリックと熱いメッセージ性

リリックにも、独自性があります。

ヒップホップと言えば、キナ臭いリリックのイメージがありますよね?(苦笑)
あとは、ひたすら地位や財産を誇示するタイプの曲とか。

確かに、グライムにもそのような要素がないわけは無いのですが…。

グライムのリリックは、「より音楽に対して誠実で、地に足がついているイメージ」です。もしくは、「メインストリームに対抗するアナーキーな歌詞」でしょうか。

例えば、Skeptaは”That’s Not Me“で、そうさ、俺はルイ・ヴィトンなんかゴミ箱に捨ててやった。なぜかって?『俺流』じゃないからさ。と歌っています。カッコよくないですか!!!

高級品を身に付けることで富を誇示するヒップホップのメインストリームに対して、真っ向から対決を挑んでいるわけですよ。

「ルイ・ヴィトンなんかより俺様のほうがクールに決まってる」

この切れ味の鋭さ、分かりますか?

カッコよすぎる”グライムMC”

それでは、最高にカッコいいグライムMCを一挙ご紹介します!

Wiley(ワイリー)

ワイリー UK グライム ラッパー
まずはこの人、Wiley

グライム生みの親とも称されるWileyは、イースト・ロンドン出身のMCです。

彼がグライムの原型を作ったのは、まだティーン・エイジャーだったころ。

Rinse FM」と呼ばれる海賊放送のラジオでハウスミュージックに乗せてラップをしたのが元祖。

後に新聞などでgrimy(dirtyと同じ意味)なビートと称されるようになり、グライム(grime)という呼び方が定着しました。

そんなグライムの「ゴッド・ファーザー」、Wileyのお勧めの曲は
I Call the Shots (feat. JME)“。

ラップながら、上品にまとまったビートが絶品です。

Dizzee Rascal(ディジー・ラスカル)

ディジー・ラスカル UK グライム ラッパー
続いて、グライムの礎を築いたもう一人の重要人物、イースト・ロンドンDizzee Rascal

弱冠19歳にして、ファーストアルバム”Boy in da Corner“でマーキュリー賞を史上最年少で受賞。

NMEアワードブリット・アワードを同時に受賞し、一躍注目を浴びました。

鋭いビートに、攻撃的なリリックは一度聴いたら耳から離れません。

ディジー・ラスカルの曲といえば、”I Luv U“で間違いないでしょう。16歳でこれを作曲したとは、末恐ろしい才能…

Skepta(スケプタ)

スケプタ UK グライム ラッパー
グライム界のビッグネームの一人、「マイクロフォン・チャンピオン」ことSkepta

ノース・ロンドン、トッテナムの出身。
2010年代以降のグライムMCとしては最も成功を収めているといっても過言ではないでしょう。

長身から繰り出される激しいラップと、真摯で情熱的なリリック

彼の奥深い哲学には脱帽です。

Skeptaの代表曲としては、”That’s Not Me“を挙げましょう。誰に何と言われようと、「俺流」を貫く決意を宣言する一曲。

JME(ジェイ・エム・イー)

ジェイミー・JME UK グライム ラッパー
お次は、グライム界、影の重要人物JME
この人、「カッコイイな」って思わせる曲には何らかの形で絡んでいます。

MCというよりも、プロデューサータイプですね。

JMEもSkeptaと同じく、ノース・ロンドン、トッテナムの出身なのですが…
実はこの二人、実の兄弟です。(笑)

Skeptaの曲の高い音楽性の陰には、JMEの存在があるのでしょう。

また、JMEはヴィーガン(菜食主義者)かつアルコールは一切口にしないとのこと。
音楽に対して、真摯な姿勢を貫いています。

JMEの代表曲は、”Serious“。JMEの真骨頂ともいえる一曲です。

Stormzy(ストームジー)

ストームジー UK グライム ラッパー
2010年代の新鋭MCと言えば、Stromzyのほかにいない!

サウス・ロンドン出身のStormzyは、ゴスペル調の曲を作ったりと、グライムの新境地を開拓しています。
本人曰く、「グライムの息子だが、R&Bの影響も受けているスタイル」。

また、マンチェスター・ユナイテッド所属のロメル・ルカク選手に顔が似ていることで話題になったことも。(苦笑)

ロメル・ルカク

実際、アイルランドの新聞に写真を間違えられて大問題に。(汗)

そのようなこともあり(?)、若くして抜群の知名度を誇っています。

Stormzyを一躍有名にした曲と言えば、”Shut Up“。これは、マジですごい曲だと思っています。

攻撃的なのに、イージー・ゴーイング。
完全にラップの概念を覆す、最高なクリエイティブさ

Dave(デイブ)

サンタン・デイブ UK グライム ラッパー

最後は、グライム界期待のホープ、Dave

サウス・ロンドンで生まれたDaveは、何と1998年生まれ!
まだ20歳の新星です。

幼いころからピアノに慣れ親しんだDaveは、ラッパーというより作曲家
本人も、音楽理論の知識が作曲に活きていることを認めています。

また、学業面でも優秀で、音楽はさることながら、哲学、法律、政治、倫理学などを大学で学んでいる知性派の一面も。

そんなDaveの”100M’s”は、ナイキのCMで使われたことでも有名ですね。

アグレッシブな言葉を使うことなく、ビートのみでパッションを表現できる懐の深さ
Daveの知性の深さが現れています。

ちなみに、曲中に「マーカス・ラッシュフォード」の名前が出てきますが、ロンドンの若者らしく、彼のリリックにはサッカー選手の名前が沢山出てきます。(笑)

UKグライム・まとめ

いかかでしたか?

UKグライムの独特の世界観を感じていただけたでしょうか。

成長著しいグライムは、最近ではUKチャートの上位にコンスタントに食い込むようになっています。
ここ日本でも、5年以内にグライム・ブームがやってくることを僕は確信しています。(笑)

それくらい一つ一つの楽曲のクオリティが高く、伸びしろが感じられます。
また、Daveの楽曲がNikeのコマーシャルに採用されていることからも、商業的な利用にも親和性が高いのではないかと考えています。

昨今、「ストリート・ファッション」がヒップホップと結びつき大きな市場を生み出しつつある中で、グライムの可能性は計り知れないと思います。

皆さんもお気に入りのグライムMCを見つけて、流行が来る前に波に乗っておきましょう!

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