イーサリアムと似た面は多いものの、最近ではIoT(モノのインターネット)の開発など独自の路線を展開しています。
今回はイーサリアム・クラシック(ETC)について、
この三つの観点から解説していきたいと思います。
イーサリアム・クラシックの基本情報
本家イーサリアム(ETH)から分裂の経緯
どうして分裂することになったのでしょうか。
まずはその経緯を簡単に振り返ってみましょう。
約60億を盗まれた「The DAO事件」
「The DAO事件」とは、イーサリアムを使ってプロジェクトを立ち上げたThe DAOという組織がハッキングに遭った事件です。
その結果、約60億円相当のイーサリアムが盗まれてしまいました。
被害額の処理を巡って対立
大きく分けて2つの案が出されました。
1つ目は、
という案。
2つ目は、
という案でした。
議論の結果、約9割の開発者が前者を、約1割が後者を選びました。
こうして、両陣営の間の亀裂は決定的になりました。
ハードフォーク(分裂)、そしてクラシックへ
そして、イーサリアムは2016年7月20日に分裂(ハードフォーク)しました。
これがイーサリアム・クラシックの誕生です。
イーサリアムは
という案を採用し、
イーサリアム・クラシックは
という案を採用しました。
こうして、現在も2つの通貨が共存している状態になっています。
作者:イーサリアム・コミュニティーの一部
先ほどの通り、「The DAO事件」でクラシック側についたのはイーサリアム開発者の約1割。
少数ながらも、信念を保ち開発を進めています。
開始年月:2016年7月20日
イーサリアムが誕生した2015年7月30日から約1年のことになります。
管理者:参加者全体
ブロックチェーンを使った「脱中央集権的」な構造です。
ビットコインとも似たような仕組みです。
単位:ETC(イーサクラシック、ETC)
イーサクラシックと読みます。
厳密には、
イーサリアム(Ethereum)はブロックチェーンを用いたシステム全体を、
イーサ(ether)は仮想通貨を指します。
しかし、多少混合しても全く問題はありません。
発行方法:採掘(マイニング)・PoW(プルーフ・オブ・ワーク)
マイニングは、世界中のマイナー(採掘者)が送金の計算を行う仕組みです。
計算時の報酬はイーサリアム・クラシックでは本家イーサリアムと同様、GAS(ガス)と呼ばれます。
GASは送金時にマイナーへ支払われます。
このシステムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼びます。
といった意味合いです。
発行上限:2億1000万~1億3000万ETC
いまだ発行上限を定めていないイーサリアムとは異なる点です。
「減少期」:-20%(500万ブロックごと)
減少期には、マイナーに支払われる報酬が20%減少します。
これにより送金が減り、コインの流通量も低下します。
そうして希少価値を高めることで、価格を維持しています。
イーサリアム・クラシック(ETC)の特徴&イーサリアム(ETH)との違い
機能はイーサリアム(ETH)とよく似ている
現時点での違いは信念によるところが大きいでしょうか。
しかしながら、イーサリアム・クラシックは自ら差別化を図ってもいます。
コードのみが真実!
最初に書かれたコードは絶対不可侵で、何があっても変えることはできません。
イーサリアムが、「The DAO事件」の際にコードを書き直したのとは対照的です。
イーサリアム・クラシックに例外は存在しません。
完全な「脱中央集権化」を目指す
特定の組織によって通貨が変わってしまうのは、あってはならないと考えています。
これが、「The DAO事件」でコードの書き換えを拒んだことのバックにあります。
イーサリアム・クラシックの将来性
技術力の拡充が急務
現状では、本家イーサリアムに対して開発力が下回っています。
開発の競争力を取り戻すことが今後の重要な課題です。
「第二のイーサリアム」へ
イーサリアムのトラブルが起きたりした際に、似た構造をもつイーサリアム・クラシックは重宝します。
また、イーサリアム本家の市場価格も反映されやすいといいます。
イーサリアム自身の浸透具合もクラシックへ影響するでしょう。
IoT(モノのインターネット)への応用が成功するか
本家イーサリアムとの差別化のためですね。
IoTとは、世界中のモノとモノがインターネットで繋がることです。
最近の例だと「スマートホーム」。
家の外でも、スマホで暖房をつけたりできますよね。
これはスマホと暖房がインターネットを通じて繋がっているからです。
イーサリアム・クラシックは、これをブロックチェーン上で実現しようとしています。
そうすれば、仮想通貨のようにプライバシーや安全性を保ちつつ、IoTが実現するからです。
仮想通貨の技術をIoTに応用させるアイデアはユニークで秀逸だと思います。
もしこの取り組みが成功すれば、イーサリアム・クラシックの可能性はさらに広がるはずです。
まとめ
機能面ではイーサリアムと似た面も多いです。
価格の面でもイーサリアムと連動する場合が見受けられます。
しかし、同時にIoTの開発を進めるなど独自性の追求も進んでいます。
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